2020年10月24日 15:00
2020年に結成38年を迎え、名古屋で活躍するパンクバンド「the原爆オナニーズ」を追ったドキュメンタリー映画「JUST ANOTHER」が公開された。監督は、音楽レーベル「Less Than TV」を描いたドキュメンタリー「MOTHER FUCKER」を手がけた映像作家・大石規湖。地元愛知にこだわり続け、プロを目指さずに定職を持ち、60歳を超えた現在もパンクロックを演奏し続けているバンドを被写体に選んだ理由を大石監督に話を聞いた。
――この映画を撮るきっかけを教えてください。
前作「MOTHER FUCKER」の後、仕事で海外のライブを撮影した時、全く知らないバンドを見に来て「良かったよ」と楽しんでいるお客さんがいたりと、自然な印象を持ちました。日本のライブハウスは暗い場所にあるというイメージで、バンドマンもライブを見に行く人もちょっと特異な目で見られていたり、海外に比べて、生活の中に根ざしている音楽が少ないのではと感じたんです。そんな時に名古屋の「今池祭り」を知りました。この映画の冒頭とラストにも映しましたが、町の至る所で、プロレスや落語、ライブや色んなことが行われていて、自然に文化が取り入れられていて……老若男女問わず、いきなりパンクが流れてモッシュする人もいましたし、その光景が何かすごく良かった。
第1作でパンク、ハードコアの中で生きている人たちを知って共感し、もっと人に知ってもらいたいと思うことがたくさんありました。私も継続してこういうことを伝えたいと。また、東京ではなく、地方でバンドを続けるということについても興味が湧き、この映画のテーマになりました。東京にいると流行りや時間の速さのせいで、大事なものが何か、流されてしまうことが多いと感じるのですが、自分たちの時間軸でやり続けている人たちです。もともと私は静岡生まれなのに、地方のバンドマンが羨ましいと思った。そこで、東京じゃない場所でバンドをやっている人たちというのがキーワードになったんです。
――今回の被写体にthe原爆オナニーズを選んだ理由は?
やり続けている結果がかっこいいものでないと人は惹かれないですよね。ただやり続けるだけではなく、the原爆オナニーズはライブがものすごくかっこ良かったんです。地方で活動していると、それほど取り上げられる機会は多くないと思うのですが、その中で“やり続ける”というのはどんな努力が、どんな精神状態があってできるのかと思ったのです。それがライブで聴いた「Another Time Another Place」(今作のエンディング曲)に現れていました。そしてこの曲がここまで私を動かしたのだと思います。TAYLOWさんらバンドメンバーに映画制作を了承してもらい、2018年の9月に今池祭りを撮り始めた時からこの企画が始まりました。
――撮影、制作中のエピソードを教えてください。
38年間やっている人たちの1年間を撮るのが、なぜ私なのか? ということを思いながら制作を続けました。映画を見ると生き方のヒントがあると思います。この映画のタイトルにもなっていて彼らの曲のタイトルでもある「JUST ANOTHER」 は“何でもない”っていうこと。38年やり続ける中で何にも起こらない、それが積み重ねになるということの1年間を撮りました。それはウィキペディアにも載ってないし、記事にもならない、派手でもない、それが日々の中で大事なこと。そんな片鱗が撮れたと思っています。
――好きな映画は何ですか?
伊丹十三監督作品が好きです。「お葬式」や「スーパーの女」とか、人間の生活なんて普通に悲劇と喜劇が同居している感じだと思うんです。笑いながら泣くみたいな、それでいいじゃんという感じが好きですね。
――これから撮りたいテーマがありましたら教えてください。
柳家喬太郎さんの落語が好きで、通い続けているので、もし柳家喬太郎さんのドキュメンタリー映画が撮れたら嬉しいですね。勝手な夢ですが。
東京・新宿K's cinemaで公開中、10月31日より名古屋シネマテークにて公開。
(映画.com速報)
October 24, 2020 at 01:00PM
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結成38年メンバーは60歳超、プロを目指さず活動を続けるパンクバンドを追った「JUST ANOTHER」監督に聞く - 映画.com
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