リーダーとして仕事をしていると、メンバーのマイナス面に目が行くことはありま
せんか?そこで、マイナス面をなんとか改善させようと、注意をしたり、指導した
りすることもあるかもしれません。
けれども、なかなか改善しない......。こんな課題感をお持ちではないでしょうか?
この記事では、メンバーのマイナス面が気になってしまう理由と、プラス面に目を
向け活かす方法についてご紹介します。
※この記事は、サイボウズチームワーク総研サイトにて、2020年7月に公開したものを一部改変したものとなります。
マイナス面が気になる2つの要因
「メンバーの強みを活かすことが大事」--―そうわかっているはずなのに、どうして
マイナス面ばかり気になってしまうのでしょうか?それには大きく2つの要因が考え
られます。
1.脳はネガティブな情報に影響されやすい
1つ目の要因は、「脳はネガティブな情報に影響されやすい」ことです。
人は「ネガティブな情報に、より強い影響を受ける」――ポジティブに考え、人の強
みを伸ばすことの有効性を説明している『ストレングス・スイッチ』(光文社)によ
れば、人の脳は、プラス面とマイナス面、両方のフィードバックを受けた場合「マイ
ナス面」の方が、より強く「印象に残る」と言います。
また、人の脳には「選択的注意」という機能があります。これは、その人にとって
「重要だ」と認識された情報のみを選択し、注意を向ける認知機能のひとつです。
このような脳の特徴が、メンバーに対してはたらくとどうなるでしょうか。
メンバーのいいところよりも、「できない」というネガティブ情報ばかりが印象に
残ります。さらに「選択的注意」がはたらくと、できない点が目につくようになります。
2.リーダー自身の強みが無意識に出すぎている
2つ目の要因は、「リーダー自身の強みが無意識に出すぎている」ことです。
私たちは、自分自身の得意や強みに無自覚です。たとえば、「スピード感をもって
動くこと」が呼吸をするくらい当たり前にできるリーダーが、自身の強みをわかっ
ていなかったらどうなるでしょう。
メンバーも当然できると思うでしょうし、じっくり考えてから取り組むメンバー
を見ると「行動が遅い人」に感じるはずです。
しかし、メンバーにとって、その「スピード感」は当たり前ではありません。
本来なら、メンバーには「じっくり慎重に考えて、リスクを見つけ出すことが
得意」というリーダーにはない素晴らしい強みがあるかもしれないのに、リー
ダーのスピード感を求められたら、とてつもなく難易度の高いことを求められ
ているように感じます。
自信を失い、やる気を失ってしまうこともあるでしょう。
強みを活かすことで得られるパフォーマンスの向上
ネブラスカ州の教育機関が1950年に行った調査があります(※1)。
この調査では、平均的な読書スピードの集団と、速く読むことが得意な集団に
対し、それぞれ速読トレーニングを行い、どの程度、読める文字の量が上がっ
たのか、その変化を調べました。
その結果、平均的な読書スピードの集団は、読める文字の量がおよそ2倍に
なったのに対し、速く読むことが得意な集団は、読める文字の量がおよそ
8倍になったそうです。
この調査結果は、人は弱みを克服するために頑張るよりも、強みにフォー
カスし、強みを伸ばすような働きかけをしたほうが、圧倒的なパフォーマ
ンスを出せるということを意味しています。
先ほどの、リーダー自身の強みが無意識に出すぎている例でいうと、リー
ダーの強みと同じ「スピード感」を、メンバーに求めて改善や指導をする
よりも、メンバーの強みである「じっくり慎重に考えて、リスクを見つけ
出すことが得意」な点を育てたほうが、パフォーマンスを出せるというこ
とです。
この視点をもつと、チームにとっては、「リスクについて考えるときには、
Aさんに聞けば安心」というチームのリスク対策が強化されます。メンバー
本人にとっても、チームに貢献できる場が見つかり、モチベーションの向
上につながります。
※1:https://ift.tt/317CiYJ
メンバーのプラス面に目を向ける「チームワーク創造メソッド」
とはいえ、人はどうしても自分の評価軸で判断してしまいがちですし、
メンバー一人ひとりの得意・不得意を、リーダーが一人で見つけ出すのは
難しいものです。
どうすればいいのでしょうか?
サイボウズには「チームワーク創造メソッド」という、チームのパフォー
マンスを高めるメソッドがあります。
このメソッドでは、まず、チームのメンバー同士で強みと弱みを言い合い、
自己開示します。次に、自身の弱みを補ってくれるメンバーを見つけ、
頼り、頼られる関係性を作ります。
たとえば、資料作りは得意だけどアイデア出しが苦手な人が、新しいアイ
デアを出せるよう努力するのは大変です。一方、それほど努力することなく、
斬新なアイデアをいくつも出せる人もいます。この場合、アイデア出しの
部分は得意なメンバーに頼り、出てきたアイデアを資料にまとめる作業を
担うことで、互いの強みを活かすことができます。協力し合えていること
はモチベーションの向上にもつながり、チーム全体のパフォーマンスも上
がるでしょう。
チームワーク創造メソッドのポイントは、「リーダーがメンバーの強みを
見つける」のではありません。「メンバー同士で弱みと強みを伝え合う」
ことです。
他者から良いフィードバックがあると、自分では気付いていなかった強み
に気付くきっかけになります。また、自分のどの強みがチームに貢献でき
ているかを知ることができると、感情面での満足感も高まり、モチベーシ
ョンも向上します。
さらに、このメソッドを使うと、自然と「補い合う」視点が生まれます。
チームの信頼関係、心理的安全性の向上にもつながります。
「強みを活かす」視点がチームを前向きに変える
メンバーのマイナス面が気になってしまう理由と、プラス面に目を向け
活かす方法についてご紹介しました。
今まで、マイナス面に目がいっていたところを、急にプラス面に変える
のは難しいかもしれません。それならば、チームワーク創造メソッドを
使って、メンバー同士で弱みや強みを言い合うような場を作ってみては
いかがでしょうか?
リーダーをはじめとして、メンバーそれぞれが「強みを活かす」視点を
もつことで、チームの雰囲気やメンバーとのコミュニケーションを、
より前向きに変化させることができるはずです。
チームワーク総研では、リーダーの方々がメンバーの強みを活かしなが
ら、リーダーの負担が軽減でき、楽しく仕事ができるようにするための
プログラムをご用意しています。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
March 22, 2021 at 09:52AM
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メンバーのマイナス面が気になってしまうのはなぜ? - 『日本の人事部』プロフェッショナルコラム - 日本の人事部
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