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ダウン症のメンバーが勇気振り絞り…日本初ソーシャルサーカスカンパニーによる公演「リアリティを楽しんで!」 - フジテレビュー!!

menba.prelol.com

「ソーシャルサーカス」という言葉を聞いたことがあるだろうか?サーカス技術の練習や習得を通じ、社会性やコミュニケーション力を育むプログラムで、世界的に社会的マイノリティー支援に活用されているものだ。

実は日本初のソーシャルサーカスカンパニー「SLOW CIRCUS PROJECT」が、4月25日(日)と26日(月)に東京・池袋で無料の野外サーカスを上演する。これは、日本財団が主催する、パフォーミングアーツを通じて、障害・性・世代・言語・国籍など、個性豊かな人たちと楽しむ芸術祭「True Colors Festival 超ダイバーシティ芸術祭-世界とつながるともっと面白い-」の2021年の演目のひとつとして開催される。

ギャラリーリンク True Colors Festival True Colors CIRCUS 「T∞KI∞(トーキョー)〜虫のいい話〜」通し稽古の様子

今回フジテレビュー!!では、稽古の様子を取材。世界でも珍しい障がい者メンバーが加わるサーカスで、障害の有無、年齢、性、国籍を超えて集まった総勢44名で作り上げる、今回の「T∞KY∞(トーキョー)~虫のいい話~」の魅力に迫った。

主役はダウン症のかおりちゃんと健常者のトッチさん

稽古場は、都内にあるアスリート向けのトレーニング施設。外気がたっぷり入る空間で、この日は雨だったため少々寒く感じたが、パフォーマーたちは薄手のステージ衣装で縦横無尽に動き回り、すでに汗をかいているようだった。

ギャラリーリンク True Colors Festival True Colors CIRCUS 「T∞KI∞(トーキョー)〜虫のいい話〜」通し稽古
主役のひとり・かおりちゃん

ストーリーは、旅芸人の人間が森に迷い込み、そこで様々な虫たちと出会っていくというもので、セリフはほとんどない。主役のひとりは、この旅芸人のひとりを演じるダウン症の女性で、皆から「かおりちゃん」と呼ばれ愛されているアイドル的存在だ。

大技から人間と虫のコミカルなやりとりまで見所たっぷりの1時間

かおりが出会う、姿も動きも個性豊かな虫たちは、障がい者メンバーと健常者メンバーの混合チームが演じている。空中を舞うエアリアルや、皆で支えたポールをすいすいと登っていくパフォーマンスなど、サーカスならではの大技部分と、コミカルな虫たちとかおりたち人間の楽しいやりとりまで、1時間があっという間に感じる展開だ。稽古中は、お互いに手話を使ってコミュニケーションを取ったり、衣装を直してあげたり、動きのゴーサインを確認し合ったり、とまさに「助け合い」ながら皆が本番に向けて楽しんでいるようだった。

ギャラリーリンク True Colors Festival True Colors CIRCUS 「T∞KI∞(トーキョー)〜虫のいい話〜」通し稽古
聴覚障害のあるキャストはポールダンサーとしても活躍

フジテレビュー!!スタッフは、「稽古」と聞くと細かい決まり事などがもっと多く、たまに怒号も飛ぶような…?という勝手なイメージを持っていたので、この穏やかな雰囲気に少々驚いた。

ギャラリーリンク True Colors Festival True Colors CIRCUS 「T∞KI∞(トーキョー)〜虫のいい話〜」通し稽古の様子
休憩時間にリラックスしながらはしゃぐキャストたち

「SLOW CIRCUS PROJECT」のクリエイティブプロデューサーで、東京2020開会式・閉会式4式典総合プランニングチームクリエイティブディレクターだった栗栖良依(くりす・よしえ)氏に、制作の舞台裏について聞いた。

「コロナ禍で練習が足りなかったが発想の転換を」(クリエイティブプロデューサー・栗栖氏)

ギャラリーリンク True Colors Festival True Colors CIRCUS 「T∞KI∞(トーキョー)〜虫のいい話〜」プロデューサーの栗栖良依さん

――本番まであと数日ですが手応えは?

先週に比べたら良くなっています。実はコロナ禍でメンバーが集まれなかったり、予定していた練習場が使えなかったり、と当初と違う状況にずっと焦っていました。このプロジェクトは、“障害のあるメンバーと一緒にやること”で面白さが出るので、共に練習ができない日々が続き「なんか違う、なんか違う」と悩んでいたのです。

――しかし、今日の様子を見ていると、皆さんにこやかで余裕があるように見えましたが?

練習が必要な人たちなのに、満足のいく練習ができていない…それを見せるというのは難しいな、と思っていました。しかし先週解決策を見つけまして。それは、割り切って練習のプロセスを本番で見せてしまおう!というものです。特に障害のあるメンバーはありのままの素が面白いので、普段トレーニングでやっていることをそのままオープニングに取り入れました。笛を吹く人が「3」とか「5」とかランダムに数字を呼びかけると、その場でその人数が集まり、ポージングをするというものです。当初は段取り通り動こうとしたのですが、どうもうまく行かなくて、私が「じゃあ、即興にしちゃえば!」と提案しました。

思い切って切り替えて良かったと思います。会場にお越しいただける方には是非オープニングの即興に注目していただきたいです。

ギャラリーリンク True Colors Festival True Colors CIRCUS 「T∞KI∞(トーキョー)〜虫のいい話〜」通し稽古の様子
この日は「5」という掛け声で、5人が集まり思い思いのポーズを

虫の役になるのではなく「“あなたのまま”で虫になってください」

――なぜ「虫たち」をテーマに?

T∞KY∞(トーキョー)というのは架空の森で、大昔かもしれないし、未来かもしれない。そこに現代の旅芸人が迷い込みます。虫というのは、ここにいる生き物たちは助け合っているんだという世界観を、そのままお客さんに見せやすいと思ったのと、これが理想とする日常で、世界がこうなったらいいんじゃない?とイメージしました。

メンバーには、「カマキリに」など特定の虫になって、とは言わず「あなたのままで虫になってください」と伝えました。自分の特徴を生かして、ありのままで舞台に立ってほしかったからです。

――衣装もメイクも個性的ですね?どうやって決めたのですか?

それぞれのキャラクターが生きるように、その人が一番輝けるようなメイクにしています。衣装も、未来のかたちを見せたくて、SDGs(持続可能な社会)を意識しリユース素材を使っています。衣装さんが本人たちから好きな色や素材を何度もヒアリングして作ったんですよ。

ギャラリーリンク True Colors Festival True Colors CIRCUS 「T∞KI∞(トーキョー)〜虫のいい話〜」通し稽古
カラフルな衣装やメイクにも注目だ

――役が自分自身、ということでしょうか?

普通の舞台作品だと、ストーリーがあって、自分とは違うキャラクターを演じますが、私たちがやろうとしているのは、その人がそのままをいかに強調して、最高の形で舞台に立つか、ということにこだわっています。リアルですよね、リアリティーショーと言えると思います。

ですから、危険な技も出てきますが、成功しても失敗してもそれがリアルなので良しとします。もちろん失敗したら命に関わるものもありますので、失敗しないように細心の注意を払っていますが。

シルク・ドゥ・ソレイユが高所から飛び降りるのと「使う勇気は同じ」

――主役のかおりちゃんもチャレンジするシーンがありますか?

そうなんです。かおりちゃんは高いところがとても苦手なのですが、今回1.5メートルほどの高さから飛ぶというシーンがあります。これは、シルク・ドゥ・ソレイユのメンバーが6メートルの高さから飛び降りるのと、使う勇気としては同じくらいの挑戦です。そのリアルを是非見ていただきたいです。

ギャラリーリンク True Colors Festival True Colors CIRCUS 「T∞KI∞(トーキョー)〜虫のいい話〜」通し稽古
「大丈夫だよ」と皆でかおりちゃんを励ます
ギャラリーリンク True Colors Festival True Colors CIRCUS 「T∞KI∞(トーキョー)〜虫のいい話〜」通し稽古
飛ぶ直前のかおりちゃん

「説教くさいことではなく、一緒にクリエーションすることが楽しい」

――栗栖さんがソーシャルサーカスに魅せられる理由は?

彼らと一緒にクリエーションしているのがとにかく面白いのです。自分とはまるで違う文化、視点、世界のとらえ方…、発見が多いし気づきも多いです。ダイバーシティだとか、共生だとか、何か学ばなきゃ、というような説教くさいことではなく、一緒にやると本当に楽しいのです。皆さんの日常生活やビジネスにもヒントがたくさんあるはずなので、「障がい者雇用しなきゃ」じゃなくて「した方がいいですよ」と言いたいです。

ギャラリーリンク True Colors Festival True Colors CIRCUS 「T∞KI∞(トーキョー)〜虫のいい話〜」プロデューサーの栗栖良依さん

――本番を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします!

上映前に、メンバーがお客さんのそばに寄ってきます。実はそこも本編で取り入れるはずの演出でしたが、練習が足りずにカットしようかと思っていました。しかし、画の力が強いのでやはり「もったいない」と思い、上演前の“盛り上げ”に必要だと思いました。そして、さきほどお話しした即興オープニングにぜひ注目を!後半の大技も見せ場ですが、メンバーのありのままの姿をシンプルに体感していただき、お子さんからお年寄りまで幅広く楽しんでいただければと思います。

ギャラリーリンク True Colors Festival True Colors CIRCUS 「T∞KI∞(トーキョー)〜虫のいい話〜」通し稽古
上演前にキャストが座席のそばへ 何が行われるのか?

【イベント概要】

「True Colors Festival」True Colors CIRCUS
SLOW CIRCUS PROJECT「T∞KY∞(トーキョー)~虫のいい話~」

2021年4月25日(日)&26日(月)それぞれ18時開演
池袋西口公園野外劇場グローバルリングシアター(東京都豊島区西池袋1-8-26)
無料:要申し込み 
※25日(日)の回は予約受付予定枚数が終了いたしました。観覧を希望の方は当日キャンセル待ちでのご案内となります(定員に達し次第受付終了)。

公式HP:「True Colors Festival」True Colors CIRCUS SLOW CIRCUS PROJECT「T∞KY∞(トーキョー)~虫のいい話~」

★上演後は True Colors FestivalSLOW LABEL それぞれのYouTubeチャンネルにて配信予定


【SLOW CIRCUS PROJECT】
SLOW LABEL (※)より発足した日本初のソーシャルサーカスカンパニー。2017年よりシルク・ドゥ・ソレイユのサポートを受け、世界各地のソーシャルサーカスを実践する団体と連携しながら、障害のある人とのパフォーマンス創作、ワークショップなど国内での普及・実践に取り組んでいる。

SLOW LABEL:NPO法人。国内外で活躍するアーティストと共に、コミュニティが抱える課題を発掘しさまざまな分野の専門家や市民・企業・行政を巻き込んで、マイノリティの視点から社会課題を解決にみちびく「もの」「こと」「人」のしくみをデザインする共同体(チーム)。ディレクターを栗栖良依氏が務める。

【True Colors Festival 超ダイバーシティ芸術祭 -世界とつながるともっと面白い-】
パフォーミングアーツを通じて、障害・性・世代・言語・国籍など、個性豊かな人たちと一緒に楽しむ芸術祭。誰もが居心地の良い社会の実現につなげることを目指す。新型コロナウイルスによる世界的な危機により、身近な人たちと引き離される経験をした人も多い中、「人とつながること」や「共に楽しむことの大切さ」を再認識できたのではないか?ということで、2021年、新たな環境でアーティストと観客がどのように体験を共有し、共に楽しむことができるのかを考えながら、プロジェクトを再始動させている。

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April 21, 2021 at 01:57PM
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