
このドキュメンタリー映画を撮ろうと思い立った南部充俊監督(44)の着眼が素晴らしい。撮影対象の菅谷晋一氏(46)の仕事ぶりを丁寧に描き切る。 8日に公開された映画『エポックのアトリエ 菅谷晋一がつくるレコードジャケット』は映像だからより魅力的に成立している作品である。 菅谷氏は音楽業界では有名な存在だが、一般的には知られていない。 しかし、この作品を見終わるころには、観客は菅谷氏の生き方のファンになっている。 菅谷氏が手掛けるのはレコードジャケット、CDジャケットだ。ザ・クロマニヨンズやOKAMOTO’Sのジャケットなどを手掛けている。 本人の仕事ぶりやインタビュー、バンドメンバーや音楽業界関係者のインタビューで構成され、安定したシーンが続く。登場人物にクレジットを入れないところも新鮮だ。クレジットがないことで、肩書に惑わされずに証言を聞ける。 ジャケットがこんな風に作られているとは知らなかった。 粘土でオブジェを作り、タイプライターを打って文様を作り、それをハサミで切り取り素材にしてしまう。手書きの文字が味わい深いロゴになる。割りばしをペンの替わりに使う。菅谷氏は実に楽しそうだ。 そんな魅惑的な図画工作から生み出される音楽のアートワーク。その大切さを「もうひとりのバンドメンバー」と登場人物はたたえる。 ジャケットにこだわる理由を「世の中に残るもの」とする。ビートルズもピンク・フロイドもローリング・ストーンズも記憶に残るジャケット作品は多い。ジャケットは音楽と一体で、一度合体すれば分離不可能の不可逆性を持つ。 菅谷氏の仕事は音源を聴くことから始まる。一度聴き、何度もは聴かないという。「音の空気感を形にする」というスタンスで、発注者の予想を裏切る仕上げを生み出すことを「大喜利みたい」と語る。ジャンルは違うが、お笑い芸人、ねずっちのなぞかけのように、意表を突くのである。誰もまねできない。 映し出される仕事部屋が、また美しい。整理整頓が行き届き、収まるべき場所に収まるべきツールがレイアウトされている感じ。一切を手作りする菅谷氏の聖域である。 さっぱりした空間からいい仕事は生まれる。クラフトワークの良さを改めて感じさせる1本だ。
January 12, 2021 at 02:56PM
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“もうひとりのバンドメンバー”レコードジャケット職人の「魅力」に迫る 映画「エポックのアトリエ」(夕刊フジ) - Yahoo!ニュース
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